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大震災が起きて日本株への不安も一気に高まりましたが、株価はかなり戻してきています。長期投資をきちんと理解して、やるべきことをやっている方にとっては、絶好の買い増し局面ではなかったかと思います。震災が起きてから売り逃げたり、消費や投資を手控えたりするようでは、経済活動も萎縮して被災者の方々の足を引っ張ることになると思います。日頃から暴落時にどう動くのかを決めておいて、迷い無く実行したいものです。
長期投資を行う時に前提にしているのは、いかなることがあろうと経済は動き続けること、人間の生活に欠くことのできない事業は社会から必要とされ続けること、株式を買うということはそういった事業を行う企業を買うということ、そして、そういった企業への株式投資のリターンは長期的に預貯金や債券といった他の投資対象より大きくなること、です。であるならば、暴落時にはいつもより一層買わなければ、あまり意味がありません。ファンドの積立投資の場合、同じ金額でもより多くの口数が買えるので有利になります。その場合でも、毎月の積立額を抑えめにしておき、できた余力を株価急落時に振り向けるなど、常に一定の余裕を持たせておけば、より合理的な投資が行えるのではないでしょうか。慣れるまでは大変ですが、例えば10%以上ファンドの基準価額が下落した時に、1万円でもいいから寄付感覚で放り込んでみて、さらに下がれば額を増やしてさらに追加投資するなど、工夫をしながら付き合っていけば良いと思います。短期的には株価の底値など誰にも分かりようがなく、そうであるなら、時間を分けて買っていく積立投資の発想を短期的な暴落時にも生かしていくということです。
さて、2011年4月28日付のさわかみファンドの運用レポートでは、震災前の2月28日付と比較して興味深い動きも出ています。私の気付いたところでは、組入123位に新たに○○製作所というポンプの会社が入っていました。金融危機も安定した業績で切り抜け、海外進出にも積極的な会社のようです。組入151位には、○○タという電動工具メーカーの名前が新たに刻まれています。海外売上高も大きく、世界経済を取り込んでいける企業ではないかと思います。自己資本比率も高く、安全面でも長期保有に適した企業と言えるのではないでしょうか。それから、原子力発電所の事故による株価下落を受けて、原子炉の製造に欠かせない役割を担う高い技術を持った○○製鋼所という企業を大きく買い増していました。組入136位の会社です。さわかみファンドは、原子力発電所そのものには積極的に賛成していないと思いますが、この会社の持つ技術は原子力発電所がどうなろうと絶対に必要である、ということなのでしょう。他にも、組入30位の○○造船、75位のキッ○ーマン、90位のク○ハ、91位の○○waホールディングス、113位のキ○○ピー、120位の○○ペイント、130位のキ○○、132位の○○エス・○○○コーポレーション、140位の○タミ、149位の○○ラケミファといったところが大きく買い増しされていました。特に、132位の会社は二次蓄電池がはやされた時に売っていたのを、ここでありがとうございますと買い戻しています。
一方で、震災復興の思惑から買われて株価の上がったハ○○○クという新興市場の企業は売り切っていました。内需型の企業だと思いますが、この投資姿勢からは外需を取り込める企業をより多く組み込んでおこうという意図も見えてきます。この他、比較的株価の堅調な企業をごめんなさいで若干売っています。10位の○○○co、17位の○○○発動機、27位の○○薬品工業、42位の○○特殊鋼、71位の安○電機、74位の○○ナック、86位の日○、98位の○○クル、99位の○○ローテックといったところです。
今回の震災では、電力会社を組み込んでいないことの意味も明らかになったと思います。生活に必要な企業には違いないので、どうして組み込んでいないのか不思議でしたが、大震災が電力会社の問題点をあぶり出しているように思えます。株価が下がっても組み入れていないところを見ると、今後も組み入れる気はないのでしょう。
第11期運用報告書が届きました。今期の運用成績はマイナスに終わったようで、残念な期になってしまいました。もっとも、金融危機から一貫してコツコツと投資されている方にとっては、景気回復に向けた準備が着々とできているのでしょう。値下りした時に買っておけば、平均買付コストを長期的に低く抑えることができます。世の中の浮ついた流れにうっかり乗っからないことが、長期投資では大事ではないでしょうか。
報告書では、株主総会での議決権行使に関して報告があり、おかしな議案に対しては反対票を投じてくれているようです。金融危機を振り返ってみると、経営陣や従業員の暴走を許していたのは、結局のところ株主であり、その株主というのは大部分において、多くの人の大切なお金を預かる年金などの機関投資家でした。これは自分たちのお金が知らないあいだに、おかしなことに使われている可能性があるということで、私たちは、自分のお金の行き先についてもっと考えておく必要があるのだと思います。この点、さわかみファンドでは、議決権の行使に関して公正で透明性のある態度をとってくれていると思います。
気になるポートフォリオでは、主な売買銘柄のところで今期の大まかな動きを知ることができます。それによると、全日本空輸は底堅かった時期に平均単価282円で売却し、大きく下がった時期に平均単価232円で買い戻しをしています。他の銘柄に大きく売られているものがあれば、こういった形で値下りの大きくない銘柄を売っておいて、チャンスがあれば再び買い戻すということをやっているようです。
この他、気になるところでは、三井物産が買付銘柄に名前を出しています。資源権益を握る総合商社は、金融危機後に大きく値を戻していました。さわかみファンドが買っていなかった総合商社ですが、BPの石油流出事故を絶好の機会と捉えて、売り込まれた三井物産をバーゲンハンティングした模様です。三菱商事と並び、日本の誇る2大総合商社の1つで、今後の活躍が期待される企業だと思います。
売付の欄では、比較的に底堅い値動きを示した企業の名前が並んでいます。コマツ、日本電産、ユニ・チャームといったところは、金融危機後に大きく値を上げた企業です。本来ならずっと保有しておきたい強い企業なのでしょうが、同じくらい強い企業でなかなか値が上がらない企業を買うために、いったんごめんなさい売りをしたのでしょう。もっとも、全て売ってしまったわけではなく、ポートフォリオでの組入比率を低下させているだけです。澤上さんの言っている「惚れた銘柄の縁は切らない」でしょう。
細かい動きも組入れ資産の明細で見ることができます。今期、少々残念だったのが日本風力開発です。金融危機後、新エネルギー関連がはやされた時期に全て売り切りましたが、値が下がってきた頃にもう一度買い戻していました。ところが、従業員の不正が発覚して上場廃止の危機に陥ったことから、再び全部売却となったようです。株価が下がったというだけでは売ることはありませんが、さすがに不正がからむと厳しい態度でのぞんでいます。願わくは、こういう存続に関わる不祥事を起こす企業をポートフォリオに組み込まないようにしてもらいたいものです。
日本企業にとっては厳しい時期が続いていますが、世界経済の回復によって大きな恩恵を受けるのも日本企業だと思います。来期の運用報告が良いものになることを期待したいと思います。
2010年最初のファンドレポートが届きました。ポートフォリオは選択と集中が進み、銘柄は159銘柄まで絞り込まれています。またポートフォリオ上位30銘柄で組入比率が50%を大きく超えており、組入銘柄の中でもメリハリを効かせた資産配分を行っているようです。上位組入銘柄の中には既に買付コストを上回っている銘柄もあり、今後の展開が楽しみです。
最新のレポートによると、またまた組入トップが替わっていました。今回の組入トップは、三洋電機を買収し、リチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池と次世代を担う電池のすべてを握る総合家電メーカーです。リチウムイオン電池でジーエスユアサが注目される中、赤字計上もあってかこちらは全くと言っていいほど手つかずで、不思議な感じもしていました。思い切った組入れ増加は、短期的な人気に左右されない長期投資型ファンドの面目躍如といったところでしょうか。電池だけでなく、電化製品でも中国など新興国への進出を進めているようで、今は赤字を計上していますが先行きは楽しみな企業だと思います。
次のレポートが届くまで、今度はどんな企業へファンド資産が向かうのか予想してみるのも楽しいです。株価が下がって停滞しているけれど、これからどんどん伸びていきそうな企業。イメージができれば、予想は意外と簡単かもしれません。難しいことをやったら投資は儲からない、とは澤上さんの言葉でもあります。
2009年12月13日付日経新聞15面の投資入門に、直近過去10年間でみた基準価格騰落率の比較が出ていました。金融危機を挟んでの成績はどうだったのでしょうか。(成績は2009年11月末時点)
順位 ファンド名 騰落率(%)
1 低位株オープン(日興) 67.09
2 日本低位株F(野村) 63.79
3 フィデリティ・セレクトファンド(市況関連) 56.59
4 レインボーF(市況産業F)(野村) 27.13
5 ハイブリッド・セレクション(DIAM) 22.18
6 さわかみファンド 19.80
7 レインボーF(地球環境F)(野村) 14.84
8 アクティブバリューオープン(T&D) 12.86
9 ポジタ・システム・オープン(国際) 10.12
10 インベスコ店頭・成長株オープン 9.61
この記事のテーマは、ファンドの人気と成績は必ずしも一致しないというものでした。ここでは人気(純資産増加額)のランクは取り上げませんが、さわかみファンドはファンド仲間の継続的な購入もあって、人気は1位だったようです。
以前に取り上げた総合成績の比較で上位ランクインしていたファンドで、今回も残っているのはアクティブバリューオープン(愛称アクシア)とさわかみファンドだけのようです。継続して高い成績を出すことは難しいことなのでしょう。
今回上位を飾った低位株ファンドは、東証1部上場企業を値嵩株、中位株、低位株に分類した上で、低位株の分類に属する企業へ投資を行うファンドだそうです。値嵩株(ねがさかぶ)というのは、1株の株価が高い株式のことです。ソニーやキヤノンといった日本を代表するハイテク企業の株式は、ハイテク値嵩株などと呼ばれ、日経平均株価の値動きに対する寄与度も大きいようです。この他、絶好調のユニクロを展開するファーストリテイリングなども値嵩株の代表といっていいのでしょう。
低位株ファンドは、こういった華々しい企業ではなく、株式市場の中でも比較的地味で1株株価が安い株式への投資を中心に行っていくもののようです。モーニングスターで調べてみたところ、日興の低位株ファンドの上位組入銘柄は、東京鐵鋼、コジマ、東京建物、日亜鋼業、日本無線となっています。野村の日本低位株ファンドの上位組入銘柄は、エプソントヨコム、丸善、ライト工業、日本無線、マツダとなっています。組入比率は上位で1%前後ですから、株価が1000円未満の株式へ数多く分散投資しているのでしょう。
実際の運用手法がどのようなものであったのかは分かりませんので推測でしかありませんが、低位株は市場の注目も集まりにくく、比較的安値に放置されているため、金融危機による暴落の影響も最小限に抑えることができ、かつ、運用でもきちんと安値で組入れを行っていけたということでしょうか。今後の成績の動向がどうなるのか、興味をひかれます。
気になるさわかみファンドの成績ですが、激しく落ち込んだ景気敏感株を大量に仕込んでいますので、景気回復局面でよくなってくるのではないかと思います。過去の成績や人気でファンドを選ぶと、高値で購入してしまいがちです。ファンドは基本的に長期投資を目的としていますので、きちんと長期間つきあっていけるファンドなのかが最も重要ではないかと思います。運用成績は大事ですが、それよりも株価が落ち込んだ時に自分の大切なお金を託せるかどうかの方が重要です。なぜなら、基準価格が落ち込んで安くなった時に買えなかったり逃げだしたりしてしまうのでは、せっかくのチャンスを台無しにしてしまうからです。投資信託の信託とは、文字通り「信じて託す」ものだと思います。

